
レピュテーションリスクの意味と気を付けたい点
近年ビジネスシーンで関心が高まっている言葉が、レピュテーションリスクです。
これは企業やサービスに対する評価の悪化に伴い、利益の損失が出る危険性を指しています。
具体例としては産地偽装を行っていた食品製造会社が、信頼面の問題から取引の機会を失ってしまい、経営破綻に至るようなケースが挙げられるでしょう。
他にも有名チェーン店の学生スタッフが、冷蔵庫などに入るイタズラがSNSで拡散されたケースでも、店舗の評判が急激に悪化して閉店に至った事例があります。
目次
ブログ・SNSの登場で事情が大きく変わる
かつては余程のことで新聞やテレビなどのメディアが取り上げない限りは、口コミで噂が広がることが主でしたが、近年はブログ・SNSの登場で事情が大きく変わってきました。
スタッフの暴言や商品の瑕疵などがあれば、その情報や実際に撮影された画像・動画がブログやSNSで広がってしまいかねません。
ネットの発達で、情報拡散力は従来よりも遥かに強まっているのです。
そして世間の批判を集めるような事態になれば、いわゆる「炎上」と言うことで、激しい非難を浴びせられる結果になってきます。
テレビなどで取り上げるようになると、状況の悪化を止めることは極めて困難です。
こうなると客足が遠のいたり、取引先との契約を失ってしなう危険性は覚悟しなければなりません。
レピュテーションリスクは個人商店から大企業に至るまで、経営規模や事業内容に関わらず、気を付ける必要性が高まってきました。
特に巷ではコンプライアンスが注目を集め、世間の企業や商品に対する見る目が厳しくなっているため、不正や不祥事に関しては評価がガタ落ちする可能性があります。
経営者・担当者にとっては未然に、このようなリスクを回避する取り組みが欠かせなくなってきたと言えそうです。
気を付けたいポイント
それでは気を付けたいポイントについて見ていきましょう。
1,法令順守のための体制づくりを見直す
まず法令順守のための体制づくりを見直すことが大切です。
違法性・不正と言うフレーズには、世論はかなり敏感に反応します。
過酷な労働条件のために社員の過労死や自殺が起きたケースでは、やはり企業へのネガティブなイメージは強くなり、結果的に利益の損失はもちろん、就職希望者も失いかねないのです。
近頃は話題になりやすいパワハラや職場でのいじめについても、気を付ける必要性は高くなっています。
一旦「ブラック企業」の烙印を押されてしまうと、イメージ回復は難しくなるため、法令順守や社員の保護は積極的に考えておきたいものです。
2,積極的な情報発信のやりすぎ
また法律的には何らの問題がなくても、意外なところからレピュテーションリスクが高まるケースがあります。
それが積極的な情報発信のやりすぎです。
現在はCMや新聞チラシの他、インターネットも駆使して製品やサービスの紹介を行うことが増えてきました。
この時には自社の製品・サービスの強みをブラッシュアップし、消費者や顧客に訴えていくはずです。
その過程で消費者のイメージが膨らんでくるのですが、これが行き過ぎてしまった結果、実際の製品が思ったよりも悪いと感じて、激しい非難にさらされることがあります。
当然ですが優良誤認や産地偽装、無添加と言いながら化学物質を使っていたような時には、リスクが強まります。
加えて殆ど不可抗力と言えるようなケースでも、この問題は生じかねません。
例えば個人情報の漏洩ですが、悪意ある第三者にハッキングされた場合に、利用者から非難を集めることがあります。
会社としてはきちんとセキュリティーを施していても、不正アクセスを許して個人情報が漏洩してしまった場合には、責任が生じて大きなダメージとなりかねません。
実際に情報流出を受けて、サービスを終了してしまった事例もあります。
このように色々な原因があるので、複数の対策を並行して検討していくことが大切です。
従業員の教育という面も重要性は高まっている
アンケートなどを駆使して企業イメージを調査するほかに、正確な情報を積極的に公開し、消費者と企業の認識のずれを修正していくことも重要と言えます。
また役員の方でパワハラや過酷な労働が生じないように注意しても、従業員が理解していなかったりすると問題です。
特に大規模な企業では本部の決定が各店店舗の責任者までは到達しても、売り場責任者やその下で働くスタッフにはきちんと伝わってなかったり、誤解しているケースもなくはありません。
このために従業員の教育という面も、重要性は高まっていると言えるでしょう。
相応しい振る舞い方や、法令順守のための知識を伝えていくような仕組みを用意したいものです。
後はネットセキュリティーも考えていきましょう。
ネットビジネスの会社ではなくても、例えば顧客データなどをPCで扱う時には、セキュリティーシステムの導入は積極的に行っていきたいものです。
個人情報保護方針なども、しっかりと見直すようにしてくことが大切。
加えてSNSやブログなどを監視して、異常があれば早期に発見できるような体制づくりを行う企業も増えてきました。
近年ではSNSで誤った製品の使い方が紹介されている時に、予め注意文を表示するような取り組みが見当たります。
このような取り組みを続けることで、企業の信頼性が培われるメリットもあるでしょう。
参考文献
・レピュテーションリスクとは
最終更新日 2025年6月17日 by kasaks